御伽龍児は思った。

帰りたい。

御伽龍児は呆然としていた。
まず自分がここにいる事実に呆然とした。
次に今宣告されたルールに呆然とした。
何より、この部屋にバクラがいることに呆然とした。
恐ろしさのあまり地面に向けて凍り付いていた視線を何とか解凍し、横目でちらりの三千年前の亡霊を見やる。

うわ、絶対、楽しんでる。

バクラの気持ちが手に取るようにわかって、御伽はうんざりする。
何より、バクラの内面なぞ分かってしまった自分にうんざりだ。
よく考えてもみろ。
いや、よく考えてみなくたって分かる。
「愛し合ってもらいます。」が絶対ルールの奇天烈な部屋に、堂々と男の自分を口説く奇天烈な男がいる。
いったい自分はどうなるのか?
更に、これは決して考えたくはないことなのだが、
もしや、ここにいる誰かと結ばれないと、この部屋から出られなかったりした ら   ?

そこまで考え付いた御伽に、残された手段は何だろうか。
そう、思考放棄するしかなかったのである。



「は…?」