アバンは思った。

へー?

軽かった。
そもそも、かつて勇者と謳われ、魔王退治を人生の使命と戦ってきたのだ。
ましてや、今、その倒すべき魔王が元勇者の隣にいるという、この状況!
なんと奇妙な!いったい誰が予想できただろうか!
しかし、アバンは、今という時間がとても好きだ。大切だ。
あの旅で、自分も、周りの人々も、とてもとても多くのものを失ってしまったけれど、確かに手に入れたものがある。

平和という名のもとに。

それは、なんと幸いなことか。
だから、アバンにとって、この部屋のことなんて、全くのへっちゃらだ。
アバンは、きょろきょろと辺りを見回す。

確かに、いくら「愛し合う」という平和的目的の為であろうとも、本人たちの意思に反したものであれば、それではただの押し付けだ。愛(しかも一番厄介な愛だ)の押し付けほど、押し付けられた当人にとって、困るものはない。
しかし、ここにいるメンバーにいたっては、無用の心配だろう。
それはつまり、そういうこと。

だからアバンは、むしろこの状況を楽しむことにしたのである。

「ですって、ハドラー。」