海馬瀬人は思った。

なぜ俺が命令されなければならん…!!

廊下に続くはずの社長室の扉が、なぜ、こんな粗末な部屋に繋がっているのかも解せないが、それよりも何よりも、この海馬瀬人が、見ず知らずの他人から、どうして命令されなければいけないのか、そのことの方が、海馬にとっては、到底解せない。
勿論、見て知っている知人であっても解せるはずはない。
それどころか、姿が見えるのならば、今すぐにでもカードで殺してやりたい。
『俺を殺すなら、カードで殺せ!』
過去にそういった男は、現実的に、カード手裏剣で人を殺せた。
命中率は100%。殺傷力は包丁に勝る。
海馬は、頭脳も身体能力も、規格外な人間であった。
不幸にも海馬の周囲で生活を営んでいる人間にとっては、規格外とは、人間ではない、と同義である。
童実野町のゴッドファーザー。
それが海馬瀬人である。
しかし、幸か不幸か、この室内で、そのことを知る人物は、バクラ、御伽、城之内の3人しかいなかったので、大半の人間は、海馬の放つ恐ろしい殺気に気づくことはなかった。
そして、余計に、海馬の怒りは募るのである。

「殺してくれる…!!」