大嫌いって言ったのは嘘だったんだよ。



エイプリルフール



ほんの好奇心だったんだ。
「小鉄。」
「あんだよ。」
「俺、実はお前のこと、前々から気に食わないと思ってたんだよね。」
「……え。」
俺の言葉でどれほどお前が傷ついてくれるのかって、そんな歪んだ好奇心。
だって傷ついてくれるってことは、それだけ俺を想ってくれてるってことだろう?
傷ついて?泣きそうな顔をして?俺を失う怖さにおびえてみせて?

でもさ。
そんなこと言ってみたって、今日の日付は4月1日。
世間でいうエイプリルフール。
俺だって冗談をいうタイミングくらいわきまえてる。
なんだ今日エイプリルフールじゃんって笑い飛ばされればそれまで。
まあ、それでも構わないなんて思ってた。だって、ちっぽけな遊び心。

なのに
「小鉄なんか大っっ嫌い。」

そう俺が言った時のお前の表情をなんて言い表したらいいんだろう。
「……ごめん。」
酷いことを言ったのは俺なのに、なぜかお前は謝った。
そして走りさっていったお前はいつもの何倍も速くて、俺は追いかけることができなかった。
なにより、お前が全身で俺を拒否していたから。

俺は全身が硬直したみたいに、その場から動けなかった。
大嫌い、と俺が嘘をついた時の表情を、なんて言い表したらいいんだろう?
だって、お前は泣いていた。


泣いていたんだ。